こんにちは。やまたろ~です。
学校、職場、近所づきあい等の日常生活で、
言いにくいことを言わなければいけないけど、気が重いわ。
という場面に出くわすことは沢山ありますよね。
今回は、そんな時に対応できる「引き出し」を増やせる『ANAのVIP担当者に代々伝わる 言いにくいことを言わずに相手を動かす魔法の伝え方』(加藤アカネ著)をご紹介します。
この本からは、色々な場面に応じた「伝え方」を学ぶことができます。
「言わなければいけないけど、言いにくいなぁ・・・」という場面でそのまま「言いにくいこと」を言ってしまうと、多かれ少なかれ言われた相手の気分を害してしまいます。
著者は、その解決策を『「いかに言わずに、動いてもらうか」に見出す必要があります。』として、その視点での言葉遣いを紹介してくれています。
本書では、上記の3つ場面に遭遇したときの色々な言葉遣いの中から、特に私が勉強になった、代表的な言葉遣い(=魔法)を一つずつご紹介したいと思います。
著者について
著者の加藤アカネさんは、ANA(全日空)に29年間在籍した、元ANAのCAマネージャーです。
人材育成部門で5000人以上のCAを育成したり、管理職としてTOP VIP部門の責任者を務めた経歴があります。
この『 ANAのVIP担当者に代々伝わる 言いにくいことを言わずに相手を動かす魔法の伝え方 』が、自身、初の著書です。
気まずいお願いをするとき
本書では、飛行機の中で、手荷物を前の座席に収納してくれないお客様の事例が紹介されていました。
飛行機に限らず、ルールやマナーを守らない人や、自分と反対意見を持っている人にお願いしなければいけないとき、どういうふうに伝えればいいのかは、難しい問題ですよね。
私の場合だと、性格上、「ルールだから」とか、「周りの人に迷惑をかけてしまうから」と言ってしまいがちです。
これも完全な間違いではないのかもしれませんが、円滑なコミュニケーションがとれなくなってしまうリスクが高いと思います。
ついつい「ルールだから」、「マナーだから」と、押しつけてしまったことは、今まで何度も経験しました。
そんなときはどうしたらよいでしょうか?
著者は、相手の「伴走者になること」が大事と言っています。
「伴走者」ってどういうことなの?
例えば、本で紹介されている先ほどの飛行機の場面では、「手荷物の収納で何かお困りですか?」と聞いたうえで、「どのような形であれば一番よろしいか教えていただけますか」と切り出し、一緒に考えて、解決策を探るということでした。
そして、一緒に考えるためには、理由や事情を聞くことが大事なことになってきます。
実際、上記の事例では、「カメラの機材が入っていて、横向きにできない。」という理由を聞き出し、問題を解決できそうな別の選択肢を示すということです。
このように、自分と相手が、同じ方向を向いて考えるようにすると、対立する可能性はぐっと減らすことができるようになります。
周りを注意するとき
皆さんが、職場の主任、上司等のリーダー的な立場や、責任のある立場にいるとして、繁忙期で業務に集中したい部下がいるのに、その周りで雑談している部下がいるとします。
そんな状況で、何とかして、業務に集中したい部下のために静かな環境にしてあげたいと考えたとき、どのような言動をとるでしょうか?
私なら「お前たち、うるさいぞ」とか、「静かにしてあげて」と言うかな。
そういう言い方でたとえ静かになったとしても、言われた側に面白くない感情が芽生えることがありますし、そもそも、そういう風に言うこと自体に尻込みしてしまう人もいますよね。
本書では、そんな風に注意をしなくても、「気づかせる」ことで、雑談を止めることができると紹介されています。
この場面で言うと、雑談をしている部下ではなく、繁忙期の部下に対して「何か分からないこと(困ったこと)があったら、声をかけてね」と声をかけます。
すると、その近くで雑談していた部下達も「いけない。そうだった。」と気づくことができます。
このように、ストレスをかけている側ではなく、ストレスを感じている側に対して、気遣いの言葉を、しかも大きな声でかけることで、変化を起こせるとしています。
注意したい人達には何も声をかけなくても、目的を達成できるね。
誰も傷つけずに、双方を丸く収める良い言葉ですね。
個人的な感想として、ごく一部の良識のない人には、この方法は通じないことがあると思います。
とはいえ、たとえ上手くいかなかったとしても、その声がけ自体はいいことですし、何も失うものはないので、実践してみる価値はあると思いました。
優劣をつけなければいけないとき(ダブルブッキングなど)
これは結論から言うと、
「折り入ってお願いがあります。」とか、
「大変申し訳ありませんが、この日の予定を変更していただけまんでしょうか?」と
切り出すのが正攻法と紹介されています。
ここで大事なのは、あくまでこちらの都合で予定を変更したいので、「ご相談」ではなく「お願い」というスタンスをとること。
そして、代替案を提示するなどして誠意を示すことです。
もう一つ大事なのが、その理由は言わない方がベターだということ。
理由を聞かされた側は、「自分の方が優先順位が低いんだ・・・。」と思ってしまうね。
もちろん、理由を求められる場面もあると思いますので、ケースバイケースなのだろうと思います。
また、このような正攻法が難しい相手や状況では、「自分の落ち度」や、「うっかり」をベースに話をするという方法もあるということです。
こういった場面では、変にごまかすようなことはしない方がいいということなのでしょうね。
まとめ
今回は、『ANAのVIP担当者に代々伝わる 言いにくいことを言わずに相手を動かす魔法の伝え方』をご紹介しました。
ここで紹介した3つの場面を通じた「相手を動かす方法」とまとめると、
- 伴走者になる(理由や事情を聞く)
- 気付かせる
- お願いというスタンスで、誠意を持って伝える
ということになると思います。
本書では、ここで紹介した3つの場面のように、CAとしての経験や考え方がを中心に紹介されています。
私たちが遭遇する場面や相手は千差万別なので、今回ご紹介した言葉遣いがそのまま使えるという訳ではないと思いますが、一つの引き出しにはなりますし、これを覚えておくことで、応用もきくようになると思います。
本書では、このようなテクニックの面で色々な「魔法の言葉」が紹介されていましたが、その全ての言葉遣いは、相手に対する思いやりがあって初めて生まれるものであって、決して表面だけ取り繕うことができるようなものではないと感じました。
CA以外の職種の人が読むときには、「自分の職場(環境)ならどうだろう。」と考えながら読む必要があるとは思います。
実は、その想像自体が模擬体験になって、経験値を積むことができますし、どんな人にも共通する、相手に対する思いやりの心を学べるかなと思います。
イメトレも重要ですね。
CAさんがどのような考えや思いで私たち乗客に接してくれているのかということを知れた意味でも興味深かったです。
そして、それ以上に、相手と良好な関係を築いていくには、上辺の言葉ではなく、本当に相手のことを考えて話をすることが大切であるということを改めて気付かせてくれる一冊でした。